サスセッティング で別物に!…体験談をいただきました

初めてのK2バイクツーリング

初めてK2 Bike TRAVEL の ツーリング に参加してくださったのが、スズキ GSR750オーナーさんをリーダーとする5人組。BMW F700GS、ヤマハ FAZER 8、ホンダ VFR800X、ホンダ Hornet 250と、車種もバラエティに富んでいます。

ライディングスクールに通っているだけあって、みなさんの腕が確かなのはすぐにわかったんですが……後ろから走りを拝見していると、ライダーの意思がバイクにストレートに伝わっていない様子。そこで、休憩のたびに1台ずつ確認→ サスセッティング させていただきました。

その効果は、はたして?
(下のコメントを聞いてみてください。GSR750→F700GS→FAZER8→VFR800Xの順です。ホーネット250はセットアップしませんでした)

なぜ、何を、どうしたのかは、以下の解説を参考にしてください。

GSR750…回頭性を高め、しっかりブレーキも掛けられる方向に

このGSR750に試乗させていただくと、フロントがお辞儀をしてしまう(速く深く沈み込む)セットアップになっていて、しっかりブレーキを掛け切れません。ターン初期の回頭性も弱く、ジムカーナ的な乗り方を好むオーナーさんには合っていないと感じました。

聞けば、シートにドンと荷重をかけて曲がるようにしているとのこと。ターン初期では、コーナーのイン側に大きく上半身を落とし込むボディアクションを見せます。どちらも、セットアップがよければ不要な動きでしょう。

リヤタイヤの表情(トレッド面の状態)からも、リヤサスペンションが突っ張り気味なことがわかります。そこでまずはリヤのストローク感を確保。といってもGSR750はプリロードしか調整できませんので、これを弱めることにしました。

このリヤ車高に合わせて、今度はフロントフォークに反発力を加味していきます。ブレーキを掛けたときの荷重をしっかり受け止め、ターン初期にフロントタイヤをしっかり路面に押し付けて 旋回力を生み出すためです。GSRにはプリロードのアジャスターしかないため、これを強めていきました。

おおむねいい状態になったところで、フロント車高がやや高く感じられたので、フロントフォークの突き出しを1mm増やして前後バランスを修正。まずまずの仕上がりになりました。所要時間は20分程度です。

これで試乗していただくと、見違えるほど走りにキレが生まれて、オーナーさんもニコニコ、ワッハッハ。僕としては、もう少し煮詰めたいところですが、それは次回の宿題ということで。

F700GS……操作系を合わせ、低過ぎるリヤ車高を適正に

F700GS

またがった瞬間、ハンドルに違和感が!! 通称、鬼ハンと呼ばれる、ハンドルグリップが突き上げられたような状態になっていたんです。

これではハンドルを切るときに違和感がありますし、肩がコリやすくなります。さっそくハンドルとレバーの角度をオーナーさんの体格にあわせて調整させていただきました。

ハンドリングは、リヤ車高が低すぎて、素直に向きが変わらない傾向。足着き性には問題がないということでしたので……アジャスターのないフロントフォークとバランスするところまでリヤ車高を上げていって(プリロードを強化)、ブレーキング時のピッチングモーションのリズムや、舵角が付く(バンクするにつれてハンドルが切れていく)スピードをダンパーで微調整しました。

所要時間は10分程度。僕自身も「気持ちいい」と感じるほど、楽しいバイクに生まれ変わったと思います。

FAZER8……安心してブレーキを掛けられるバイクに

FAZER8

最も乗りにくそうにしていたのが、このフェーザー8です。試乗してみると、前後の車高バランスは悪くないのですが、ブレーキを掛けた瞬間にガクッとフロントフォークが潜り込んでしまいます。これでは安心してブレーキを掛けられません。

公道でのサスセッティングを考える場合、「安心して止まれることが優先順位の第1位。そのうえで、気持ちよく曲がれて、自然に上達し、疲れず、タイヤも摩耗しない」というのが、僕の サスセッティング の基本方針です。

フロントフォークのプリロードを抜きすぎていたので、適切なところまで強化。反発力が増したこととバランスをとるために、ダンパーも少しだけ強めました。これで、ブレーキを掛けるとズコッと潜り込み、入力を抜くとスパッと戻っていたフロントフォークの動きに、しっとりとした落ち着きが出てきます。ターン初期の回頭性が増し、旋回中の安心感が増したのも見逃せない改善点です。

最後にリヤのダンパーを微調整して、前後に荷重を受け渡すリズムにも、しっとり感を加味。おかげで、余分な力が入りにくく、自然とバイクに体重を預けられるバランスになったと思います。所要時間は10分程度。その効果は冒頭の音声ファイルの通りです。

VFR800X……フロントの空白感を除去。リヤの動きもわかりやすく!

試乗してみると、リヤのストローク感のなさと、フロントの動き始めの空白感(スコッと手応えがないまま沈み込む)が気になりました。

バイクは後輪駆動ですから、リヤサスペンションの設定がまず大事。そこで、リヤにストローク感を出すところから取り掛かりました。ちなみに、サスペンションが動かないと、タイヤが滑りやすく、摩耗も早くなってしまいます。

このVFR800Xの場合は、ダンパーがリヤサスの動きを規制しすぎている感じだったので、わずかにダンパーを弱めてストローク感を加味。様々なスロットルの開け方を試してみると、いずれもバランスがよかったので、リヤはこれで決めました。

フロント側は車高の高さが気になっていたので……リヤ側とバランスを取ることに。具体的にはプリロードを弱めていきました。

前後の車高バランスが整ったところで、フロントのダンパーを微調整して安定性や回頭性のバランスを整え、ひとまず終了。所要時間は10分程度です。オーナーさんは接地感が出てきたことと、取りまわし性が向上したことに驚かれたようです。


サスセッティング実践講座

僕のセッティングは、その基本をスクーデリアオクムラ・世古さん(業界では知らない人がいないセッティングの名手でした。現在は在職されていません)に教わり、様々な車種で20余年にわたって自ら研究を重ねてきたことがベースになっています。

編集長を務めていた大型バイク専門誌でWGPライダー・新垣俊之さんと人気企画「サスセッティング実践講座」を展開してきたこと、取材で様々なスペシャリストにセットアップやメンテナンスの奥義を学んできたこと、開発者インタビューやバイク関連の論文を通じて工学的な知識を豊富に持ち合わせていることも、僕の特徴だと思います。

今回のように、一般ライダーさんのセットアップ経験も豊富なので、短時間のうちに80点程度のレベルまで仕上げることができます(100点を目指すなら、オーナーさんとのコミュニケーション&ある程度の時間が必要です。メンテナンスが必要になるケースもあります)。


サスセッティングに興味のある方、より深く体験してみたい方は、マンツーマン型スクール「初めての路上教習」の無料オプションとして承ります。お申し込みフォームのメッセージ欄に「サスセッティング希望」とお書き添えください。ライディングの基本を復習していただき、愛車のコンディションを確認したうえで、サスセッティングの基本を体験していただけますから、有意義な時間になることと思います。

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