ライディングパンツの選び方

https://youtu.be/YyU1Mnk49Wk

バイク用品の中で、もっとも「後悔」する確率が高いのが、パンツではないでしょうか?

特に、後から悔やまれるのが「スソ上げ」し過ぎてしまって、走っているときに靴下が見えてしまうこと。これはファッションの面からも、安全性の面からも、いただけませんね。

そのほかにも、普段着るタウンウエアとは違う「目利き」のポイントがあるので、順を追って説明していきたいと思います。

スタイリング…コンセプトは3種類

ライディングパンツの選び方…スタイリング

まずはスタイリングです。これは大きく分けて3種類あります。レーシングパンツ、ツーリングパンツ、そしてジーンズやカーゴパンツに代表されるカジュアル系です。

見た目の好みだけではなく

  • どんなシチュエーションを重視するのか?
  • どんなブーツやシューズを履きたいのか?

によっても、あなたに最適な製品は変わってきます。

たとえば、スーパースポーツやスポーツネイキッドに乗っていて

  • サーキットやワンディングロードをバリバリ走りたい
  • レーシングブーツを合わせたい
  • 万が一のときの安全性を最優先したい

というなら、レーシングパンツに限ります。

素材はレザー(牛革)がメインになるので価格は高く、重量は重く、クリーニングにもコストがかかってしまいますが、安全性はナンバーワン! メンテナンスを怠らなければ10年は履ける耐久性の高さも魅力的です。いちばん大事なのはカビが生えないように保管することですね。

逆に

  • バンクセンサー(ニースライダー)はいらない
  • 快適に走れて、安全性が高くて
  • バイクを降りた時にもそれなりに歩きやすくて
  • ライディング専用のブーツやシューズに合う

製品がほしいというなら、ツーリングパンツをオススメします。

素材はテキスタイルが中心になりますので、重さも気になりませんし、手入れも楽。ただしマフラーに触れると溶けて穴が開くことがありますので注意してください。

使用頻度にもよりますが、おおむね2~3シーズンくらいで紫外線による退色(色あせ)が気になってくると思いますので、何年も履きたいなら紫外線に強いもの、色あせしにくいものを選んでください。

メッシュ素材の製品もありますが、これは市街地専用と考えたほうがいいと思います。山や高原は夏でも涼しいので、メッシュ素材ではないほうが幅広い季節に対応してくれますし、冷えによる体調の不良も防いでくれます。もし、どうしても暑いというなら、接触冷感タイプのインナーを組み合わせるといいでしょう。

最後は、ジーンズやカーゴパンツなどのカジュアル系です。

  • バイクを降りても違和感がなく
  • 散策するときにも歩きやすく
  • 洗濯機にポンと放り込めて
  • 色あせも味わいのひとつ
  • どんなバイクにも、どんな靴にも合わせられる

というのが特徴です。

ライディング専用品なら乗車姿勢をとってもヒザや鼠径部(股関節周辺)、ウエストに負担がかかりません。縫製もしっかりしているので、風に打たれたときの耐久性も高い。しっかりしたプロテクターが入っている製品なら安全性も十分だと思います。

気を付けなければいけないのは、生地が薄めな製品、太もものフィット感が緩めな製品、スソがダブついている製品は、走っているときにバタバタと波打ってしまうことです。こうなると、とても疲れますので注意してください。詳しくは「試着のチェックポイント」のときにお話しします。

安全性…プロテクターは必須。縫製も注意して!

ライディングパンツの選び方…安全性

続いての目利きポイントは安全性です。

いかに衝撃をかわし、滑走したときに皮膚を守るかが大事になります。

僕の長いバイク人生の中では、何度か転倒したこともあって、そのときの「痛い経験」からいえば「ヒザのプロテクターは必需品」です。

万が一、転倒したら「必ず」と言ってもいいくらい衝撃を受けやすいのがヒザですし、ヒザの関節を傷めると長期間にわたって苦労しますから……これはもう「だまされた」と思ってプロテクター付きの製品を選んでください。

しかも、しっかりと厚みのある、保護能力の高いプロテクターが入ったものをオススメします。その目安になるのが「CE規格」と呼ばれる「ヨーロッパの安全性の基準」です。ちなみにCE規格にはレベル1とレベル2があって、保護能力の高い「レベル2」のほうがオススメです。

プロテクターの付き方には2種類あって、プロテクターの存在を目立たせたくない方には「内蔵式」、つまりパンツの内側に装着するタイプが向いています。

もうひとつの「外入れ式」は、ヒザの外側のポケットにプロテクターを入れるタイプで、洗濯するときに簡単に取り外せるほうがいい方、肌への触れ方が優しいほうが好きな方に向いています。

厚手のプロテクターが入っていると、寒いときにヒザが冷えにくいうえに、パンツのスソがズリ上がりにくいというメリットもあります。

万が一、転倒したときにプロテクターがクルッと回ってしまうと意味がありませんので、ヒザまわりがピッタリとフィットしている製品を選ぶことも重要です。

最近は「自宅で洗濯できるレザー」を使ったカジュアル系のパンツもあります。こうした素材を選ぶと安全性がさらに高まります。転倒したときに求められる「程よい滑走性・程よい抵抗感・穴の開きにくさ」という点では、いまだにレザーがベストバランスだからです。

続いて、縫製にも注目してみてください。

バイク専用品なら、転倒・滑走して「縫い糸」が路面にこすられたとしても、絶対にパンツが解体しないように、表面からは見えないところに「隠された縫い目」が存在するはずです。そのぶん手間とコストがかかるので、一般的なタウンウエアやアウトドアウエアでは、そこまでされていない製品が多いです。

バイク専用品はライディング時の快適性と運動性、安全性を考えて、縫い方を使い分けているところもポイントです。これは風に打たれても、縫い目がほつれないという耐久性の高さにもつながります。

バイク用品店で、どこにどんな縫い方が使われているのかを見比べてみると、開発コンセプトの違いもわかって面白いと思います。

快適性…バタつかない製品を!

ライディングパンツの選び方…快適性

続いての目利きポイントは「快適性」です。

絶対に欲しい性能は3つ。

  • 乗車姿勢に合わせた立体裁断
  • ストレッチ素材
  • 吸汗速乾

です。

レーシングパンツやツーリングパンツでは、ニット素材やシャーリングを組み合わせることで運動性を高め、裏地を工夫したりベンチレーションを設けたりすることで「汗」に対応している製品が多いです。

立体裁断で特に重要なのは

  • 上半身を前傾しやすいか?
  • コーナーで足を開きやすいか?
  • ひざを曲げやすいか?

です。このあたりは試着して確かめてみてください。

ストレッチ素材なら、走っているときの風でバタつかないようにフィット感の高いパンツを選んでも、窮屈に感じることがありません。

最近は吸汗速乾素材のジーンズやカーゴパンツも増えてきました。これなら、ゲリラ豪雨にあってカッパを着るのが間に合わず、濡れてしまったときでも、走っているうちに乾いてしまいます。メッシュの裏地が付いている製品なら、さらに快適ですし、脱ぎ履きも楽になります。

ブーツシューズとの相性も、しっかりとチェックしておいてください。

ポイントは、スソをブーツやシューズに被せたときに「ダブついていないかどうか?」です。走っているときの風でスソがバタバタと波打つと、とても疲れますので、ピタリとフィットしている物を選んでください。

右上の写真は、同じメーカー・同じウエストサイズのライディング専用ジーンズですが、コンセプトの違いによってこれほどスソの幅が変わってしまうという点に注目してください。

つまり、どんな靴を履くのかを決めてからパンツを選ばないと、後から「失敗した」と後悔する可能性があるということです。

耐久性・メンテナンス性…退色とカビに注意

ライディングパンツの選び方…耐久性・メンテナンス性

続いての目利きポイントは耐久性とメンテナンス性です。

耐久性の面では、すでにお話してきたように縫製(縫い方)がしっかりしている製品、色あせしにくいか、色あせしたとしても、それが味わいを深めるような製品を選んでください。

メンテナンス性の面では、購入する前に「洗濯表示」を必ず確認しておきましょう。ウエストの裏側かポケットの内側に表記されているはずです。

1回ツーリングに出かけただけでも……前のクルマが跳ね上げた泥水や排気ガス、空中に漂っている虫が当たったりしてけっこう汚れますし、パンツの内側も汗などを吸収しますから、清潔に使い続ける意味でも「きれいにしやすい」製品を選んでください。

もうひとつ見逃せないのが、カビに強いかどうかです。特にレザーは定期的に陰干しして風を通さないとカビが発生しますから、どこに保管するのかも考えてから購入するといいでしょう。僕の場合は部屋の壁にひとつずつ重ならないようにつるしてあります。

購入するときには必ず試着を!

ライディングパンツの選び方…試着時のチェックポイント

いざ購入しようと思ったら、必ず試着してください。

同じメーカー、同じウエストサイズでも、コンセプトによってシルエットは様々ですし、お尻や太もものフィット感、ブーツやシューズとの相性は試着してみないと確かめようがないからです。

余談ですが、僕はお尻が大きく太ももが太めなので……見た目がカッコよくて大好きなパンツがあるんですが、太ももが通らなくて、涙をのんだ経験があります。通販で買っていたら「返品」間違いなしです!

試着するときのチェックポイントは7点です。

●ウエスト…ランチを頬張っても大丈夫か?

ライディング専用品なら、前側の股上は浅く、背中側は深くなっているので、ランチを頬張ってもお腹が圧迫されることはないと思います。

●鼠径部…前傾しやすいか? 足を開きやすいか?

上半身を前傾させたときに鼠径部(股関節周辺)が圧迫されないかどうかを確認してください。ストレッチ素材なら安心です。スポーツライディングを楽しみたい方は、足を開きやすいかどうかも、見逃せないチェックポイントです。

●ヒザ…プロテクターはフィットしているか?

プロテクター(ニーパッド / ひざパッド)がフィットしているかどうかが重要です。転倒したときにクルッと回ってしまわないこと、プロテクターの位置が上過ぎないことを確かめておきましょう。

製品によっては、走っているうちにパンツがズリ上がってきて、プロテクターがヒザの上にズレてしまうことがありますので……ブレーキをかけたりエンジンブレーキが効いたりして、パンツがズレあがった状態を再現するために、手でパンツをたくし上げてから、プロテクターの位置を確認しておいてください。

●太もも…フィットしているか?

太ももがピッタリしていると、ブレーキを掛けたりエンジンブレーキが効いたりしたときに、パンツがズリ上がる量が少なくなります。走っているときの風でバタつくこともありません。というわけで「タイトフィット」な製品をオススメします。

●靴との相性…スソ幅が広すぎないか?

パンツのスソをブーツやシューズに被せたときに、ピタリとフィットしていることが大切です。スソが幅広くてダブついていると、風が入ってきて足が冷えたり、肌が乾燥してかゆくなったりしますし、バタバタと波打ってとても疲れます。

●股下…十分に長いか?

スソ上げの話と関係しますが、減速するたびに少しずつパンツがズリ上がっていきますので、走っているときにも靴下が出ないようにするためには、みなさんが思っている以上に長い股下が必要です。

タウンウエアやアウトドアウエアでは、そもそも「これだけ長い」股下の設定がないのが一般的です。どれくらい長ければいいかというと、立った時にカカトでスソが踏めるくらい。僕が愛用している製品の股下を測ってみると……普段着、具体的には「靴を履かない状態でスソが床に触れる長さ」のものに対して、フィット感がタイトなライディングパンツは+6cm程度、フィット感がゆったりしているライディングパンツは+10cm程度長いという結果でした。

この「普段着+6~10cm」というのを、ひとつの目安にしてください。

これだけ長くしても、ブーツやシューズを履いていれば、立っているときにスソを踏んでしまうことはありません。もし靴を脱いで食事したりするときには「スソを折り返しておく」と快適です。

参考までに、街で見かけた「スソ上げ」し過ぎの例を挙げておきました。

予想以上に、たくさんの方が上げ過ぎているので、ご注意ください。靴下が見えるような状態だと、万が一、転倒したときに皮膚を傷めてしまう可能性が高くなるので、十分な長さを確保するようにしておきましょう。

余談ですが、皮膚が削げてしまうと、骨折したときよりも「痛い」ので、くれぐれも肌を露出しないようにご注意ください。

快適性を高める逸品…吸汗速乾インナーとレッグカバー

試着時のチェックポイント…快適性を高める逸品

最後に、パンツの快適性を高める製品を2つご紹介します。

まずは吸汗速乾インナーです。特にコンプレッション系という「着圧」がかかるタイプは、筋肉の余分な動きを抑えながら、動きをサポートしてくれるので、1日ツーリングしたときの疲れがずいぶん減ります。

ただ「着圧」に慣れていないと、使い始めは違和感があるかもしれませんので、プロ野球などで有名な『アンダーアーマ』といった手頃な価格の製品でコンプレッションの効果を確かめてから、バイク専用のインナーを購入してもいいでしょう。

吸汗速乾は体温調節をサポートする効果があって、これも疲労の軽減に貢献してくれます。一言でいうと「夏は涼しく、冬は暖かい」ので、僕は一年中着用しています。ここにコンプレッションが加わると、体温調整の効果もいっそう大きくなると感じます。

汗をかいても、コットンのように冷えることが無いので、風邪をひくことも防いでくれます。

僕の経験からいうと、吸汗速乾インナーにもいくつか種類があって、スポーツ用品でいえば『SKINS』や『CW-X』のような厚手でしっかりしたものは、洗濯してもヘタリにくい反面、夏には着用感がちょっと蒸し暑い感じがします。

一方『アンダーアーマ』のような薄手でストレッチ性の高いものは、真夏でも涼しい反面、徐々に伸びて薄くなっていくので、2シーズンくらいで買い替える感じでしょうか?

スポーツ用とバイク用を数年かけて10種類ほど試してきた結果、今ではパンツの下にもジャケットの下にも「薄手のコンプレッションタイプ」を一年中着用しています。

最後に「スソ上げ」し過ぎてしまったときに役立つ製品をご紹介します。

それは登山やハイキング用のレッグカバーです。Amazonなどの通販サイトで「レッグカバー」と打ち込めば、様々な製品が出てきます。価格は左右セットで1000円程度とリーズナブルなうえに、ウエストバッグにも入れておけますから、ぜひ試してみてください。

寒い時期に、冷たい風が入ってくるのを防いでくれる効果が高いので、スソ上げをしていない僕も愛用しています。

雨の日にも重宝しますね。レインパンツはフィット感が緩やかですから、走っているうちにどうしてもスソがズリ上がってきてしまいます。こんんときにもレッグカバーをしておけば、足首が濡れることもありませんし、レインパンツのスソが風でバタバタと波打つのを防ぐこともできます。

以上、パンツの選び方を解説してきました。

タウンウエアに比べると多少値段が高くても、バイクにはバイク用のライディングパンツが一番だということが、おわかりいただけたのではないでしょうか?

一生、転ばない方もいらっしゃいますが、もし転んだら傷めやすいのが手とヒザです。そのヒザをしっかりと守りながら、カッコよく、快適にツーリングをお楽しみください。


今回の記事は『週刊 BIKE賢人』から転載したものです。

このように「バイクライフの百科事典」をコンセプトに幅広く情報発信しているだけではなく、読者限定サービス「手ぶらでリゾートツーリング」と滞在型ツーリング施設「ライダー長屋」(仮称)の実現を目指しているので、ぜひ ぜひ ご協力をお願い致します m(__)m

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