期間限定 ~祝解禁!「雪の回廊」初走り~

前口上|一生に一度は走る価値があります!

『週刊 BIKE賢人』編集長・梶 浩之の「イチオシ・ツーリングルート」第1弾は、1年のうちで2週間ほどしか楽しめない ~祝解禁!「雪の回廊」初走り~ です。

高さ5m~10mの「雪の壁」で囲まれたスカイラインを駆け抜けるのは、なんともいえない すがすがしさ があって、すべてのライダーに「一生に一度は体験していただきたい」と感じます。

「雪の回廊」をバイクで走るといえば

  • 八幡平アスピーテライン(岩手県~秋田県)
  • 蔵王エコーライン(宮城県~山形県)
  • 磐梯吾妻スカイライン(福島県)
  • 志賀草津高原ルート(群馬県~長野県)

が有名ですが……今回は東京から日帰りできて、東海や近畿からもアクセスしやすい 志賀草津高原ルート をメインステージにしました。

ちなみに僕は K2 Bike TRAVEL の創業準備として3年間ほど大手旅行会社の添乗員をしていたので、そのときの経験を活かして、ツーリングでも「午前と午後にそれぞれ ハイライト を設ける」ようにしています。

ただ単に走り続けるだけではなく、訪問した地域に特有の自然や文化、歴史に接して、ヒラメキや知恵を得るのが 旅の醍醐味 でもあるからです。

折にふれて散策することは、バイクライディングで固まりがちな首・肩・腰・ヒザをほぐす効果もあります。

では、今回のツーリングの概要、そして見どころを解説していきましょう。

概要|4月下旬~5月上旬限定!「雪の回廊」初走り

■ベストシーズン:冬季閉鎖解除日(例年4/23前後の金曜日)~2週間程度
 *晴天や雨が続くほど雪が解け、回廊の高さが低くなっていきます

■行程:日帰り

■走行距離:157km(上信越道・松井田妙義IC~碓氷軽井沢IC)
 *関越道・練馬ICから往復404km

■ハイライト 午前…江戸~明治の歴史を実感!

  • 碓氷第三橋梁…近代化遺産指定第一号・日本最大のレンガ造りアーチ橋
  • 碓氷峠…中山道の難所を184のカーブで攻略
  • 白糸の滝…上流に川がない! 幅70mにわたる浅間山 伏流水の滝
  • 日本三名泉 草津湯畑…足湯で体験!? PH2.1酸性湯がドラム缶23万本/日も湧出

■ハイライト 午後…大自然の美しさに感動!

  • 渋峠…中央分水嶺・日本国道最高地点 2172m
  • 雪の回廊…最高5~10m! いましか見られない残雪の芸術
  • 横手山ドライブイン…北アルプスの絶景に感動
  • 浅間~白根火山ルート…浅間山と溶岩流が印象的
  • 星野リゾートでひと休み…ハルニレテラス・トンボの湯・石の教会

■費用(2022年4月現在)

  • 練馬IC→松井田妙義IC:116km・通常料金 2760円/ETC 2230円
  • 碓氷軽井沢IC→練馬IC:131km・通常料金 3000円/ETC 2390円
  • 白糸ハイランドウェイ:200円
  • 湯畑観光駐車場:300円
  • 万座ハイウェー:750円
  • 鬼押ハイウェー:150円+250円
  • ランチ(草津周辺):1500円前後

■備考
志賀草津高原ルートは標高が高く、気温が低いため、防寒対策が不可欠です。冬用グローブや電熱ジャケットなどを準備しておき、最初の展望台あたりで冬装備に替えるといいでしょう。


以下、見どころの解説です。

碓氷第三橋梁|近代化遺産指定第一号・日本最大の煉瓦造りアーチ橋

碓氷第三橋梁(めがね橋)
↑ 碓氷第三橋梁(うすいだいさんきょうりょう)通称「めがね橋」

明治24年(1891年)に着工、明治26年(1893年)に完成し、昭和38年(1963年)まで70年間にわたって国鉄・信越本線が利用してきたレンガ造りの4連アーチ橋です。現存するレンガ造りの橋の中では国内最大規模。全長91m、川底からの高さ31m、使用されたレンガは約200万個におよびます。

英国人技師を招いて建設したため、レンガの積み方はイギリス式。勾配は1000分の66.7と、国鉄の中で最も険しかったために、アプト式と呼ばれるギヤを組み合わせた線路が敷かれていました。蒸気機関車時代は排煙や亜硫酸ガス、熱気が機関士や乗客を襲わないようにトンネル入口で「幕引き」が行われていたのも特徴です。

橋の上まで登れるので、碓氷峠を見下ろしながら、江戸時代の中山道の賑わいにも想いを馳せてみてください。

【参考】レンガの積み方

レンガの積み方
*フランス式は美観に優れます。世界遺産 富岡製糸場が採用。
*イギリス式は高強度のため土木建築や鉄道橋梁に適します。横浜 赤レンガ倉庫が採用。
*長手積みは壁厚が薄くなるため、強度が低いとされます。
*小口積みは円筒形の構造物に適します。東京駅が採用。
(出典 https://jma-seisan.jp/nipponnokokoro/kajifumihiko217)

【参考】トンネル幕引きの効果

蒸気機関車が走っていた時代は、運転士や乗客を排煙から守るために、トンネル入口に麻製の 排煙幕 を設置していました。めがね橋の上に登り、トンネル入口を見ると、排煙幕を吊っていた金具を確認できます。

トンネル幕引きの効果
↑ 当時は機関車が後方から客車を押す方式。
列車通過後に幕でトンネルをふさぐと、動力車の後方が「陰圧」になって
排煙が後方に引っ張られ、客車が煙に包まれなくてすみます。
(出典 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col06571.htm)
排煙幕
↑ 排煙幕(出典 https://chinobouken.com/meganebashi/)

碓氷峠|中山道の難所を184のコーナーで攻略

碓氷峠 旧道
↑ めがね橋の上からみた国道18号旧道・碓氷峠(うすいとうげ)

中山道の難所・碓氷峠をクルマで通過できるように、明治19年(1986年)に新しく作られたのが現在の国道18号(旧道)碓氷峠です。ふもとの坂本と軽井沢の間に「184個のカーブ」が連なります。

気象的にも文化的にも関東地方と中部地方の境界線にあたり(東側は関東方言、西側は東海東山方言)、中央分水嶺(降った雨が太平洋側に流れるのか、日本海側に流れるのかの分かれ目)としても知られます。

ちなみに「江戸時代の中山道」は3kmほど北側にあって、現在はハイキングコースとして整備されています。


【参考】中山道とは?……江戸幕府が整備した五街道(東海道・奥州街道、日光街道、甲州街道・中山道)のひとつ。古代から「関東と信濃国・北陸をつなぐ」ルートとして重要視されてきました。東京日本橋~京都三条大橋(約534km)を69の宿場で結び、五街道で「最長」を誇ります。

中山道

善光寺・御嶽山・熱田神宮・伊勢神宮へお参りするときのルートとして栄えたほか、京都の宮家や公家から徳川将軍家にお嫁入りするときのルートとしても頻繁に利用されたことから「姫街道」の別名を持ちます。縁起のいい地名が多かったことも、お嫁入りに使われた理由だそうです。

東海道(東京日本橋~京都三条大橋・約488km)は、川の増水で足止めをくらったり、七里の渡し(熱田~桑名)で海難事故にあったりすることがありましたが、中山道は多少険しくても「予定通り」に進めることから、旅人に好まれたと伝えられます。


通行量の増加に対応して昭和46年(1971年)に 碓氷バイパス が開通。平成13年(2001年)11月に無料化されたため、現在はほとんどのクルマが碓氷バイパスを通行します。

ちなみに、軽井沢から坂本を目指して峠を下ると、ブレーキ操作が頻繁で精神的にも肉体的にも「景色を楽しむ」ゆとりがなくなりますし、ブレーキパッドが減ってしまいますから……坂本から軽井沢を目指して 峠を登る ことをオススメします。今回のルートもそのように設計してあります。

また、碓氷第三橋梁までは「観光バス」とスレ違うことがありますし、その先では「下り坂で膨らんでくる乗用車」も見かけますから、カーブミラーで先を確認するとともに、右コーナー でセンターラインに寄り過ぎないように注意してください。

軽井沢=かるいさわ or かるいざわ

そうそう、軽井沢 は「中山道六十九次」の中で 最も栄えた 宿場で、もともと「かるいわ」と呼ばれていました。ところが、明治以降に増えた外国人観光客が発音しにくいという理由で「かるいわ」に変わったのだとか。現在は駅名も町名も「かるいざわ」となっています。

白糸の滝|上流に川がない! 幅70mにわたる浅間山 伏流水の滝

白糸の滝(軽井沢)

上流に川がなく、岩肌からしみ出した数百本もの水流がカーテンのように広がっているのが「白糸の滝」です。落差3m、幅70m、標高1260m。この水は 浅間山(2568m)に降った雨や雪が 6年 ほどかけて湧き出てきたもので、年間を通じて枯れることがありません。水温が 11.8℃ と高めなのは、火山活動(地熱)の影響だといいます。

滝壺に行ったら、ぜひその清流に触れてみてください。駐車場から滝壺までの遊歩道(徒歩 約3分)にも、ライディングで固まった身体が解きほぐされるような 心地よさ が漂っています。

草津温泉 湯畑|恋の病以外、効かぬ病はなし!

日本三名泉(草津温泉・有馬温泉・下呂温泉)のひとつ「草津温泉」はPH2.1という 強酸性 が特徴。皮膚病、神経痛、糖尿病に効果的なだけでなく、美肌の湯としても知られています。古くから薬湯(くすりゆ)として人気を集め、「恋の病以外、効かぬ病はない」と言われますので……湯畑に隣接する「足湯」でその効果を確かめてみてください。

草津温泉の源は、草津白根山(2160m)に降った雨や雪で、1日にドラム缶23万本という湧出量は 日本一 を誇ります。湯温が50~95℃前後と高いので、加水をせずに 源泉かけ流し で利用するために、湯畑では樋(とい)にお湯を通して温度を下げています。これは、温泉成分の結晶・湯の花 を採取するためでもあります。

ちなみに「本物」の湯の花は年間4000個程度しか作られないといいます。本物は赤字で「草津温泉 湯の花」と書かれ、発売元が「群馬県草津町」となっているので、お土産を購入するときにはチェックしてみてください。(参考:草津商工会

湯畑に生えている緑色の苔のようなものは、温泉を好む藻類で、草津温泉の場合は イデユコゴメ と呼ばれる種類が中心。高温・強酸性が好きだなんて、すごい生命力ですよね。

渋峠|日本国道最高地点(標高2172m)

もともとは有料道路でしたが、1992年に無料開放。現在は国道292号に組み込まれ、日本全国の国道の中で「最高の標高」を誇ります。毎年11月上旬~4月下旬まで 閉鎖 され、クロスカントリースキーコースが作られます。

冬季閉鎖が解除される時期には、高さ5m~10mにおよぶ「雪の回廊」が出現! 中央分水嶺 らしいダイナミックな景観も手伝って、何度走っても 感動が薄まる ことがありません。夏や秋に走るのもオススメです。

2018年1月に草津白根山が噴火したため、バイク・自転車・オープンカーの通行が禁止されていましたが、噴火警戒レベルが下がったことを受けて2021年4月に規制解除。4年ぶりにバイクが走れるようになりました。

復路1|横手山ドライブインでUターン

渋峠を越えて横手山ドライブインまで行くと、そこから先は下り坂。スノーモンキーで有名な 地獄谷野猿公苑 や開湯1350年を誇る 湯田中温泉 に向けて降りていけますが……個人的には道や景色が期待したほどではなく、東京に戻るのもたいへんになってしまうので、横手山ドライブインでUターンすることをオススメします。

これは、往路とは違う角度から「雪の回廊」を眺めることにもなりますので、残雪の芸術 をより深く味わうことにもつながります。

復路2|浅間~白根火山ルート経由で軽井沢へ

「雪の回廊」から軽井沢方面に戻るときには、上信越高原国立公園を縦走する浅間~白根火山ルート(万座ハイウェー 20km+鬼押ハイウェー 16km)を走ってみるといいでしょう。特に「鬼押ハイウェー」は『ニッポン絶景ロード100』(えい出版社)、『絶景ドライブ100選』(学研パブリッシング)にも取り上げられたほどの人気ルートで、浅間山の雄姿と鬼押し出し園の溶岩流が印象的です。

鬼押ハイウェー 浅間山
(出典 https://www.princehotels.co.jp/amuse/asama-shirane/)

復路3|ハルニレテラスでひと休み

旅の締めくくりに、ちょっとオシャレなスポットに立ち寄って、非日常感を楽しむのもいいと思います。僕は星野リゾートが運営する『ハルニレテラス』でウィンドウショッピングを楽しむのが定番。温泉が好きなら『トンボの湯』で身体をほぐしてから帰途についてもいいでしょう。

ハルニレテラス
ハルニレテラス HPから抜粋

ハルニレテラスの向かい側の森の中にたたずむ『石の教会』も一見の価値があります。特に「建築」に興味がある方は、オーガニック建築(自然と調和する・季節を呼吸する)や無教会思想(信仰や制度によらない無垢な祈り)というコンセプトが、どのように具現化されているのかを、ご自身の目で確かめてみてください。

石の教会
↑ 石の教会
(出典 https://www.stonechurch.jp/)

お腹が空いていたら|64年で1億7000万個も売れた「駅弁」

もしお腹が空いていたら、碓氷軽井沢ICから上信越道に入って10分ほど走った横川SA(上り)に寄って『峠の釜めし』をいただいてみてください。昭和33年に信越線横川駅で発売され、これまでに1億7000万個も販売された駅弁で……開発コンセプトは「温かくて、家庭的なぬくもりがあり、見た目も楽しいお弁当」とのことです。

峠の釜めし 荻野屋

益子焼 の釜は自宅に持ち帰ってご飯を炊いたり、お料理を作ったりするのに使えます(HPでレシピ公開中)。現在は使い捨てのパルプモールド容器も選べます。

僕自身も旅行会社の添乗員として長年いただいてきましたが、近年は特に「美味しさが増した」と感じています。発売64年の歴史にあぐらをかかず、いまなお商品を磨き続ける姿勢を、僕も見習っていきたいですね。


以上、『週刊 BIKE賢人』の「おすすめツーリングルート」からの抜粋でした。

タイムスケジュールとGoogle mapの設定

実際にツーリングするとなると、移動距離や所要時間の情報がほしくなりますよね。

というわけで『週刊 BIKE賢人』読者の方は、専用サイトで「タイムスケジュール」をダウンロードしていただけます。近ごろはスマホにインストールしたGoogle mapを参考にツーリングする方が多いでしょうから、おすすめの行程とあわせて「Google mapの設定(目的地)」もまとめてあります。


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