いいエンジンを作る「慣らし」の方法

エンジンは煮物と一緒?! めて、まして、まためて

志賀草津高原ルート 慣らしツーリング

バイクを乗り換えたので、慣らしを兼ねたツーリングに同行してくれませんか?
サスセッティングや乗り方もアドバイスしてほしいんですけど……」

 

そんな依頼をいただいたので、
ツーリングパートナー(詳細はこちらとして、
東京から日帰りで志賀草津高原ルートを巡ってきました。

志賀草津高原ルート(北アルプス)

それにしても、志賀草津高原ルートから望む北アルプスは美しいですね。

いい景色、いい道、いい気持ちで慣らしをすれば、
それだけいいエンジンに仕上がるというものです。

 

—–ちょっぴり宣伝  「慣らし代行サービス」——————–

大型バイク専門誌の編集長を引退して、バイクショップに身を置いていたときに、
「慣らし代行サービス」を行っていました。

「サーキット走行会に行きたいんだけど、慣らしをする暇がない」
「プロの手で、いいエンジンを作ってほしい」
という方々から依頼を受けて、おおむね3日程度で
エンジンやタイヤ、ブレーキ、サスペンションを仕上げていたんです。

お返しするときには、ライディングポジションやサスセッティングを
オーナーさんに合わせ、そのバイクの特徴や乗り方のポイントを
まとめたレポートも差し上げていました。

今でも個別に請け負うことは可能なので、興味のある方は
info@k2biketravel.com までお問い合わせください。
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せっかくですから、いいエンジンを作る慣らしのコツをお伝えしておきましょう。

 

【基本的なえ方】

エンジンにはアルミや鉄、ステンレス、チタン、銅、
樹脂、ラバーといった素材が使われています。

温度が上がったときの膨張の仕方はそれぞれ違いますし、
冷えていくときの収縮の仕方も、また異なります。

 

慣らしの過程では、これらが馴染み合っていくことが大切なんです。

だから
めたり、ましたりすることが重要
と、
ある有名チューナーさんは教えてくれました。

 

ちなみに、その方がエンジンオーバーホールを請け負ったときには、
エンジンベンチで10時間ほど慣らしをしてから納品するそうです。

その運転パターンによって
パワーやレスポンスが変わると言いますから、奥が深いですね。

 

その後、様々な方に慣らしの方法をうかがい、
自分でも試行錯誤した結果、たどりついたのが、現在の方法です。

ミドルクラスのようにパワーが限られる場合は特に
梶が慣らしをするとトップスピードが伸びますから……

メーカーが指定する方法を尊重しながら、
「梶式」のエッセンスを取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

 

【梶のらしのやり方】

Step1:100km

ハンドルやレバー、フットペダル、バックミラーの位置を
自分の体格に合わせたら、静かに走り出します。

100kmほどていねいに走ったら、
休憩して
エンジンを人肌の温度まで冷やします。

 

ていねいと言っても、低回転でダラダラ走るわけではなく、
ガソリンをきれいに燃やすことに専念!

 

最高出力発生回転数の3分の1を上限にして、
気持ちよくエンジンが回る領域をキープすればいいでしょう。

まずはエンジンに、「回ること」に慣れてもらうイメージです。

 

燃料満タンでスタートし、
休憩中は異臭や液漏れがないかどうかを細部まで確認します。

 

Step2:100300km

最高出力発生回転数の2分の1を上限にして、
各ギヤを、できるだけまんべんなく使っていきます。

梶は、自分のペースで走りやすい
夜の高速道路を利用することが多いので、
すべてのSA/PAをドライブスルーします。

SA/PAに入るときは、後続車に注意しながら
「6→5→4→3→2→1 」とていねいに1速ずつ
シフトダウンしていき
……止まらずにそのまま……
「1→2→3→4→5→6」と
ていねいに加速して本線に戻るわけです。

 

スロットルは絞り気味(無暗にガバガバ開けない)にして
比較的一定のペースを保ち、ガソリンをきれいに燃やすことに専念!

ただ単にタイヤが転がっているという状況は極力作らず、
軽く負荷を掛けながら走っています。

 

具体的には、1kmぐらいかけてジュイ~~~~~~ンと
ジワジワ加速していくイメージ、あるいは
わずかに上り勾配の付いた道をじっくり踏みしめながら前進するイメージ、
走行風圧とバランスしながら(風圧をわずかに押し戻すように)走るイメージです。

スロットルを閉じるときにも、ジュイ~~~ンとていねいに戻します。

 

オドメーターが300km前後になったら給油して休憩。
燃費計が付いているなら、その数値と「走行距離÷給油量」のデータを
照らし合わせて、誤差を確認しておきます。

1回目の休憩と同様に、異臭や液漏れがないかどうかを確認しつつ、
エンジンを人肌の温度まで冷やします。

 

初日は、このあたりで終えてもいいでしょう。

 

Step3:300500km

最高出力発生回転数の2分の1を上限に
ガソリンをきれいに燃やして走るところは同じですが、
徐々に負荷を大きくしていきます。

加速する回数を増やす、そして
加速するときのエンジン回転数の幅を大きくしていくイメージです。

 

その頻度は1km~数kmに1回といった感じでしょうか?

あまり神経質にならず、加速しながらエンジンを育てていくと
考えればいいと思います。

やがて、エンジンが軽く回るようになってきます。

 

オドメーターが500kmくらいになったら給油して休憩。
燃費データを再チェックします。

あるいは、燃料残量警告灯が点灯するまで走り続け、
何リットル入るのかを確認しておきます。

 

急いで慣らしを終わらせたい場合も、ここで一晩おき
完全にエンジンを冷やします。

 

Step4:5001000km

タイヤ銘柄によっては、
実走行でもまれて形が変化するのか、
空気圧がやや低下することがあります。

 

走行前にタイヤ空気圧を確認して
もし下がっているようなら、メーカー指定値に補正。

こうしたタイヤは、おおむね300kmほど走ると、
ハンドリングも空気圧も安定してくるので、心配はいりません

 

あわせて、エンジンオイルの量と色(特に白濁が危険)、
冷却水の量、ブレーキディスクの色や
チェーンの張り具合も
確認します。

 

エンジンや車体にオイルの飛散跡がある場合、
冷却水経路からクーラントがにじんで甘い香りがする場合、
ボルトが緩んでビビリ音が発生する場合、
ブレーキディスクが青紫色に焼けている場合は、
きちんと原因を究明して、対策します。

不安なら、購入したディーラーを訪ねてください。

 

問題がなければ、ていねいに走り出して、
エンジンとタイヤが温まったら、慣らし再開です。

 

Step3と同様に、負荷をかけながら
息の長い加速を心がけますが、ここでは走行100kmごと
エンジン回転数の上限を1000rpmずつ高めていきます。

 

相応に速度も上がってくるので、
以前よりも1~2速下のギアを使うのが一般的。

 

大型バイクの場合は、かなりの速度になるので、
高速道路ではなく、中速コーナーを中心とした空いた
ワインディングロードをマイペースで走りながら、
1~3速でていねいに加速していくのも、ひとつの手です。

 

冒頭で、志賀草津高原ルートを選んだのも、
このあたりを考慮してのことでした。

 

タイヤやサスペンションにかかる荷重は大きくなり、
ブレーキの仕事も増えていきますから、
足まわりの慣らしも意識して進めます。

 

といっても、特別に何かをするわけではなく、
滑らかに大きな荷重をかけ、滑らかに荷重を抜くように心がけます。

一部の輸入車のように、極端な設定になっている場合は、
サスセッティングで補正することもあります。

 

やがて「慣らしはもういいかな?」と感じ始めるので、
そうなったら、以下の3点を意識的に探して、
潜在能力を引き出します。

 

■気持ちのいいスロットルのけ方とじ方

■バイクの動きに違和感のない着座位置

■不自然な抵抗を感じない倒し込みの方向

 

久しぶりにバイクに乗るときにも、
乗り始めにこの3点をチェックすると、いち早く勘が戻ります。

 

ディーラーが指定する走行距離(800kmまたは1000km)になったら
初回点検を受けて慣らしは完了です。

 

【追伸】 FI車は下手な友人に貸しちゃダメ?!

最近、当たり前になったFI(燃料噴射)のエンジンは、
自己学習機能の働きで、あなたのスロットルワークに
最適化されるようになっています。

 

裏を返せば、スロットルの操作が下手だと(粗い/一貫性がないと)、
出力特性も粗雑になりやすいということ。

これを教えてくれたのは、バイクショップにいたときのチーフメカニックでした。

 

…最近、試乗車のエンジンがガサついてきたんだけど、なんとかならないかな?

メカ…自己学習機能をリセットすればいいんじゃないですか、いろんな人が乗りますからね。

梶…本当だ、直った! コレだよ、コレ。このフィーリングがほしかったんだよ。

 

 

梶が慣らしをすると「いいエンジン」になるのは、
自己学習機能を考慮して きれいに燃やす スロットルワークを
心がけていることも大きいと思います。

 

ちなみに、リセット機能がないFI車を、元のいい状態に戻そうと思ったら
…(梶の経験では)…
適切なスロットルワークで500kmほど走らなければなりません。

 

中古で購入したFI車も、同様に、
500kmくらいかけてアナタ色に染め直していくといいでしょう。

 

 

つまり、キャブレターよりもあなたらしさが出やすい時代に
なったということです。

だからこそ、今回の記事を参考に、
気持ちのいいエンジンを育てていただければ幸いです。

 


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