ヘルメット の選び方

今回は「ヘルメットの選び方」について、まとめてみました。

僕の動画を見てくださる方は、道具を大事に扱い、物持ちのいい方が多いと思いますが

ヘルメットには「3年」という耐用年数

があるので、見た目はキレイでも、安全のためには定期的な買い替えが必要です。

というわけで、初めてヘルメットを購入する方だけでなく、ベテランライダーさんにも役立つ情報をたくさん盛り込みました。

ぜひ、最後までご覧になって、ご自身にピッタリなヘルメットを選んでください。

ちなみに今回の動画では、選び方のポイントとして4つの項目をピックアップしています。

  • スタイリング
  • メーカー
  • ツーリングに便利な装備
  • メンテナンス性

さらに

  • 試着時にチェックしたいポイント
  • 僕がレッスンしているときによく聞かれる質問

も付け加えておきました。

さっそく、スタイリングから始めていきましょう。

目次

OPEN FACE…広い視界で市街地もスイスイ

オープンフェイス(ジェット)ヘルメットの特徴

オンロードでのツーリングを考えると、大別して3つのスタイリングがあります。

オープンフェイス、またの名をジェットヘルメット……そしてフルフェイスシステムヘルメットです。

それぞれの特徴を整理していきますから

まずは自分のバイクライフに合う「」を決めてください。

これがヘルメット選びの第一歩になります。

最初に紹介する「オープンフェイス」の最大の特徴は

「開放感」のある広い視界です。

自転車や歩行者が多い市街地では、視界が広いほど「危険」を早く察知できますから、混合交通の中を走る機会が多い方にはオープンフェイスが向いています。

ヘルメットの重量が軽いこと、ヘルメットを被ったまま水を飲んだり、パンをかじったり、タバコを吸ったりできるのもいいところですね(僕はタバコを吸いませんが……)

特に夏は、赤信号で止まっている間に、サッと水を飲めるのが、ありがたいです。

ただし、スクリーンやハーフカウルが付いていないバイクで高速道路を走ると、シールドの下から風を巻き込んで……目が乾いたり、鼻水が出たり。風の音も大めです。

スタイリング的に、スーパースポーツには似合いにくいと感じる人も多いでしょう。

そうそう、シールドがないタイプのオープンフェイスヘルメットもありますが……バイクで走っていると前のクルマが跳ね上げた小石、コガネムシや蜂といった昆虫、海岸から巻き上がったなどが飛んできますから、「目を守る」ためにシールドは絶対に必要です!

インナーサンバイザーの効用

夏場にシールドを閉じると「暑くてかなわん」という方は、サンバイザーが内蔵されているヘルメットを選んで

「サンバイザーを降ろして目を守りながら、シールドを開けて風を取り込む」

という使い方がいいと思います。僕も市街地ではこのスタイル。スピードが上がってきたらシールドを閉じ、信号で止まったらシールドを開けると快適です。

FULL FACE…ハイスピードでも楽々

フルフェイスヘルメットの特徴

続いて「フルフェイス」の特徴をみていきましょう。

スーパースポーツにピッタリなスタイリングが象徴するように

ハイスピードで走っても快適

なのが最大のメリットです。

オープンフェイスに比べると、風の巻き込みが少なくて静かですし、顔全体が覆われるので安心感もあります。視界が広すぎないので、走りに集中できるのもいいところでしょう。

ただし、メーターが見にくいこともあります。

ヘルメットの重量はオープンフェイスより重め。寒い日や雨の日はシールドの「くもり」、夏の市街地では「暑さ」が気になることもあります。被ったり、脱いだりもオープンフェイスほど楽じゃありません。ヘルメットを被ったまま水を飲めないのも不便ですかね?

というわけで、市街地での利便性よりも、高速道路での快適性を重視する方にフルフェイスをおすすめします。日焼けしたくない女性にも、フルフェイスが人気です。

余談ですが、ヘルメットを地面に打ち付けるような転び方をすると、ヘルメットの下の淵が鎖骨に当たって鎖骨の骨折を招く恐れがありますし、正面から衝突すると首に負担がかかって首の骨が折れることがあります。

一般的に「安全性ではフルフェイス」と言われますが、鎖骨と首を傷付けないという観点からはオープンフェイスも捨てたものではありません。

SYSTEM…とにかく静か。着脱も楽ちん

システムヘルメットの特徴

最後は「システム ヘルメット」です。

アゴの部分を跳ね上げられるタイプですね。ガチャッと開けると、ヘルメットを被ったまま水を飲めますし、オープンフェイスのように「楽に」ヘルメットを被ったり脱いだりできます。

アゴの部分を後から「しっかり」覆う形状になっているので

フルフェイスより「密閉度」を高められる

のも、システムヘルメットの特徴。おかげで、とても静かです。

インカムのスピーカーを納められる凹みや、インナーサンバイザー、蒸れやくもりを防ぐベンチレーションが付いているのも、ツーリング派にはうれしい部分です。

ただし、帽体が2分割構造になるので、どうしてもヘルメットが大きく重く、価格も高くなりがち。

それでも、楽に着脱でき、静かなヘルメットがほしいというツーリング派に、システムヘルメットをオススメします。

メーカー選び…信頼性の指標は2つ

どんなヘルメットメーカーを選べばいいの?

ヘルメット選びの2番目のステップは「メーカー」選びです。

僕がバイクに乗り始めた40年前は「AraiかSHOEI以外はダメ」と言われていたものです。

現在ではこの2メーカー以外にも優れたメーカーがありますが……万が一、何かあったときに「頭」を守るものですし、何万円もするものですから、これはもう絶対的な信頼をおけるメーカーのものを選んでください。

そのモノサシは2つ。

「レースに参戦しているか?」

「フィッティングシステムを用意しているか?」

です。

絶対的な安全性を突き詰めながら、どうやって視界を確保し、空力特性を高め、快適性を維持し、ライダーの能力を引き出すか?

こうした性能を磨き続けるためには「走る実験室」と呼ばれるレースに参戦するのが一番です。

ですから、MotoGPやスーパーバイク世界選手権、JSB1000といったトップカテゴリーのレースに参戦しているメーカーの製品が、やっぱり安心ですね。

もうひとつは「フィッティングシステム」を用意しているかどうかです。

僕がインストラクターを務める『初めての路上教習』では、レッスンツーリングの途中に頭が痛くなってしまう方が2割くらいいらっしゃいます。頭のどこかに、ヘルメットが強く当たっているからです。

ひと昔前は、様々な頭の形に対応するために「厚めの内装」を使っていたので、登山靴や革靴のように「使っているうちにフィットする」ということもありましたが、

現在は、衝撃を吸収する発泡材の形状を「頭の形」に合わせ、内装を薄めにすることでホールド性とフィット感を高めていますので、「使いながら合ってくる」ことは期待できません!

そのために「フィッティングシステム」が生まれたわけです。

頭のサイズ ~具体的には円周・前後の長さ・左右の幅~ を測って、最適なサイズを導き出し、合わない部分は調整パッドで補正する。アドバイザーさんにみてもらいながら、こうやってジャストフィットさせていくのも、貴重な経験ですから……

複数のメーカーのフィッティングシステムに対応した「バイク用品店」で、アドバイスを受けながら、自分にピッタリのヘルメットを選んでください。


★各メーカーのフィッティングシステム&取扱店情報

SHOEI Arai Kabuto


国産3メーカーの特徴とは?

この項目の終わりに、日本を代表する3メーカーについて、簡単に解説しておきます。いずれも最高峰のレースで活躍し、充実したフィッティングシステムを展開しています。

まず『SHOEI』は フランスやスペインの警察にも採用される「世界のトップメーカー」で、自社工場に2種類の風洞実験施設を備えているなど、研究開発にも力を注いでいるのが特徴です。

特にこだわっているのはアクティブセーフティ、つまり「事故を未然に防ぐ性能」です。広くてクリアな視界と快適な被り心地でライダーの集中力を維持する。それが SHOEI のヘルメットといえるでしょう。

逆に『Arai』は パッシブセーフティ に並々ならぬこだわりを持っているメーカーです。

「衝撃をかわす」ためには「丸く、滑らかで、剛い」帽体が必要。そのために、エアロパーツは衝撃を受けたときに外れるように装着されていますし、「帽体内部に空洞を作ってサンバイザーを収納すること」も断固拒否。独創的な外付け式のサンバイザーシステムを展開しています。アゴひもについても、バックル式ではなく「Dリング」式をかたくなに採用し続けています。

Kabuto』はオリンピックの自転車競技でも知られる、スポーツサイクル界の大御所メーカー。バイク用ヘルメットでは軽さ」と「空力性能」へのこだわりが強く、レース参戦にも積極的です。コストパフォーマンスの高さも魅力的ですね。

快適ツーリングに必要な装備は?

あると便利なツーリング装備

続いて「あると便利」な機能を紹介していきましょう。

まずはベンチレーションシステムです。

見た目は少しゴツくなりますが、これがあると無いとでは大違い。頭の蒸れやシールドのくもりを防ぐためには必需品といえます。

続いては、サンバイザー。これも使い慣れると手放せませんね。

たとえば日中は常にサンバイザーを下げておき、トンネルに入ったら上げるようにすると、暗いトンネルの中でも先がよく見えて安心です。

目の安全性を考えると、サンバイザーがサングラスと同様の規格を満たしているかどうかも確認しておくといいでしょう。

ただし、サンバイザーのぶんだけ帽体が少し大きく重くなるので、これが気になるかどうかも確認しておいてください。

ちなみに僕が初めて購入したサンバイザー付きモデルは、大きさ・重さだけでなく、高速道路での空気抵抗も少し増していました。スクリーンがあるバイクなら、ほとんど気にならないと思いますが、念のためお伝えしておきます。

次は、インカムを付けやすいかどうかです。

特に、スピーカーを装着するための凹みがあると助かります。ひとりでしか走らない方も、インカムを付ければ、ナビの音声案内や音楽、FMラジオを聞けるようになりますし、最近はヘルメットにビルトインできるインカム、リーズナブルなインカムも増えてきましたから、ツーリングを楽しみたいなら、インカムを装着しやすいヘルメットを選んでおいたほうが無難です。

最後はアゴひもです。

一度、バックル式に慣れてしまうと、もう離れがたいですね。着脱も締め具合の調整もワンタッチ! Dリング式のように、余ったストラップの処理に困らないのも、バックル式のいいところだと思います。

シールドの着脱性も要チェック!

ヘルメットのメンテナンス性

続いて、メンテナンス性に進みましょう。

ツーリングに出かけると気になるのがヘルメットの「汚れ」です。

外側はバイクの車体と同じようにクリーナーやワックスで磨けばピカピカになりますが、内装は汗や排気ガスで汚れますから「洗濯」が必要です。

このときに、内装を丸ごと取り外せるものなら、簡単に洗濯できますし、厚みの違う内装に取り換えてフィット感を調整することも可能。というわけで、内装が外せるものをオススメします。

続いて、シールドの汚れです。

特に夏場は「」の死骸がこびりついて、嫌ですよね。これはティッシュで拭いても、油汚れが広がって見にくくなるだけですから、サービスエリアや道の駅のトイレで洗ってしまうのが一番。

というわけで、シールドを簡単に着脱できるかどうかも、使いやすさを左右します。試着のときに、この点もチェックしておいてください。

耐用年数についても触れておきます。

ヘルメットの内装をめくると「製造年月日」が貼ってあるはずですから、自分のヘルメットの「年齢」を確認してみてください。

バイク用のヘルメットには必ず「SG/PSCマーク」が貼ってあって、このSG(製品安全協会)の有効期限が「購入後3年間」なので、ヘルメットメーカーは3年ごとにヘルメットを買い替えることを推奨しています。

帽体(外装)や内装はまだまだ使えそうでも、「発泡材」でできている衝撃吸収ライナーの性能が3年をめどに低下していくからです。

SG/PSCマーク

お手元に古い発泡スチロールがあったら、試しに触ってみてください。パサパサと弾力性が低下し、もろくなっているのがわかるはずです。これでは、イザというときに頭を守れませんよね。

3年たっていなくても、転倒したり落としたりして「大きな衝撃」が加わった場合は、発泡材がつぶれてしまっている可能性が高いので、買い替えるようにしてください。

せっかく買い替えるなら、今までとは違うタイプの製品や、違うメーカーの製品を試してみると、コンセプトの違いなどを理解できて面白いと思います。

オープンフェイスでバイクライフをスタートした方が、高速道路を走るようになってフルフェイスに替えるパターンも多いですね。

写真を見るだけでは分からない!

次は、試着する時のチェックポイントです。

近ごろは通販が人気ですが、ヘルメットは絶対に「試着」してから購入したほうがいい!

同じサイズ表記でも、メーカーによって被り心地がかなり違いますし、同じメーカーでもモデルによってフィット感が変わってくるからです。

頭を包み込むような製品もあれば、頬をしっかり支えるモデルもあります。このあたりは写真を見ても分かりませんから、バイク用品店に行ってアドバイスを受けながら、いくつかのモデルを被り比べてみるのが一番ですね。

フィッティングシステムを利用するのもオススメです。多少、コストがかかっても、一日中、頭が痛くならずならず、快適にツーリングできるなら、安いものです。

では、何十個というヘルメットを被ってきた僕なりのチェックポイントをお知らせしましょう。

被るときは「アゴひも」を開いてから

ヘルメットの被り方

まず、アゴひもを持って、左右にしっかり開いてからヘルメットを被ります。

脱ぐときも、アゴひもを左右に開くのをお忘れなく!

「アゴひもを開かずに試着しようとして、頭が引っかかり、本来より1サイズ大きいヘルメットを選んでしまうビギナーさんがいる」という話をよく聞くので、初めてヘルメットを購入する方は注意してください。

ヘルメットを被ったら、両サイドかアゴの部分を持って、被る角度を微調整してください。頭がしっくり収まるヘルメットの位置があるはずです。

もし、この時点でしっくりこなかったら、あなたの頭の形に合っていない可能性が高いので、違う製品を試してみましょう。

走っているつもりで「上下・左右・襟元」を確認

ヘルメット試着時のチェックポイント

続いて、自分のバイクに乗っている姿勢をとって、視界をチェックします。

特に重要なのは

信号が見えるか?」

「車線変更のときにを見やすいか?」

の2つです。

スーパースポーツのように上半身の傾きが大きい場合は、信号が見えなくなってしまうヘルメットもあるので、よく確認してください。

こうやって頭を上下、左右に動かしている時に、ヘルメットがズレるようなら、サイズが大き過ぎます。

続いて、シールドの中央を指で軽く押してみます。

これは高速道路を走るときのシミュレーション。ヘルメットが前後にズレるようならサイズが大き過ぎますし、おでこへの当たりが強くなるようなら、顔の形状とヘルメットが合っていません。

ヘルメットを被ったままオシャベリするのも大事です。特に、インカムを使おうと思っている方は、このチェックをお忘れなく!

僕が持っているヘルメットの中には、頬のホールドがしっかりし過ぎていて、しゃべると「頬の内側の肉」を噛んでしまうものがあります。

もうひとつ確認しておいてほしいのは、ジャケットとの相性です。

特に後ろエリが「ヘルメットの動きを妨げないかどうか?」が重要です。曲がり角で左右に顔を向けるたびに、ジャケットのエリがヘルメットに当たると、文字通り「首が回らない」状態になってしまいます。これは辛いですよ(笑)

というわけで、ヘルメットを選ぶときには

  • アドバイザーがいるバイク用品店で
  • ジャケットを着て試着し
  • 自分のバイクを運転しているつもりで
  • 視界やフィット感を確認してから

購入するようにしてください。

ヘルメットの置き方は?

最後に、僕がレッスンするときによく聞かれることについて、お伝えしておきます。

ヘルメットの置き方

まずは、ヘルメットの置き方です。

ミラーに引っかけている方をよく見かけますが、衝撃吸収ライナーの「発泡材」がミラーで凹んでしまう、つまり安全性が低下してしまう恐れがあるので、コレはやめてください。

僕は、シールドを開けて燃料タンクの上に置くか、アゴひもを結んでグリップやミラーステーに掛けるようにしています。いずれも、強い風が吹いたときに、ヘルメットが転がり落ちないように注意してください。

地面に置いてもいいですが、知らないうちにアリが忍び込んで、走り始めてから耳の当たりでモゾモゾ動き出すという経験があったので、あまりおすすめしません。

インナーで「耳」問題を一気に解決

次は「耳」の問題です。

レッスンツーリング中に「耳が痛い」と言い出す受講生さんが1割くらいいます。

たいていは、ヘルメットを被った時に折れてしまった耳をそのままにして走り続けたケース。本来は、ヘルメットを被った時に、アゴひもを外側に引っ張って、できたすき間から指を入れ、折れた耳を元に戻しておけばいいのですが……

耳折れを戻してから出発を

こうしたことを教えてくれる人がいないと、我慢し続けてしまいますね。

ピアスが内装に引っかかって、大変な思いをする方もいらっしゃいます。

これらの「耳」問題をいっぺんに解決するのが、ヘルメットインナーを着用することです。僕のレッスンを受講する女性には、目出し帽型のインナーが人気です。

これなら日焼けも防げますし、ピアスもできますし、髪型も乱れません。ヘルメットを着脱するたびに「頬をこすられる」ことがないのも、女性にはうれしいようです。ヘルメットの内装も汚れにくくなります。

僕はハーフタイプのインナーを愛用しています。これを耳の上にかぶせておけば、ヘルメットの着脱がスムーズですし、耳が折れることもありません。

試着するときにもインナーを被っておけば、フィット感の確認も万全ですね。


ヘルメットの選び方は以上です。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

普段は日帰りツーリングを楽しんでいる方が北海道ツーリングに行ったら、長時間の装着で頭が痛くなったり、ヘルメットの重みで首が痛くなったりして、後半はツーリングどころじゃなかったという話もありますので、この動画や記事を参考にして、自分にピッタリのヘルメットを選んでください。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次