《試乗記》ディライト・スクランブラー “フリーダム”

ducati スクランブラー カスタム

 

これは間違いなく第3の終着点

「あがりバイク」という言葉をご存知でしょうか?

いろいろと乗り継いでいった結果、最後にたどり着くバイク……という意味です。もうそれ以上は乗り換える気にならない。「最愛の伴侶」と言い換えてもいいでしょう。

バイク業界としては「もっと新車買ってよ~」と言いたいところですが(笑)、ライダーにとっては幸せなこと。そんな「あがりバイク」の典型と言われているのが、BMW・R1200GS / アドベンチャーとヤマハ・TMAXです。

 

特に「日本全国が遊び場」というツーリングフリークの方は、R1200GSシリーズに落ち着くパターンが圧倒的に多い。迫力満点の見た目からは想像もできないほど軽快な身のこなし、フラットダートを重戦車のごとく駆け抜けていく走破性、パニアケースの便利さを知ってしまったら、離れられなくなるのはよくわかります。

逆に、実用的な足としてバイクを活用しながら、程よく「操る楽しみ」を味わう。そして休日には奥さんや娘さんを乗せて、美味しいコーヒーを飲みに行ったり、アウトレットモールに買い物に行ったり……。バイクをあくまで「生活を豊かに彩る One of them」と考えるなら、TMAXの右に出るものはありません。ランニングコストが安価なのもうれしいところです。

 

ここにもう1台、究極の「あがりバイク」が誕生しました。

ドゥカティ・スクランブラー クラシックをベースにした、ディライトのカスタムコンプリートマシンがそれです。

 

ディライト スクランブラー コンプリートカスタム

↑ DUCATI・SCRAMBLER CLASSICにディライトオリジナルのアルミタンクとシート、純正オプションの2in1エキゾーストを装着。ブロックタイヤで初めてラジアル構造を取り入れたミシュラン ANAKEE WILD(F=120/80-18 R=170/60R17)を組み合わせて、オン / オフ万能マシンに仕上げています。

 

「究極のツーリングバイク」であるR1200GS、「究極のスポーツコミューター」であるTMAXに対して、ディライト・スクランブラーの美点は 自由自在 感です。

これまでに何台ものバイクを乗り継ぎながら……強大なパワーや非日常的な速度、深々としたバンク角を楽しんできた方。オフロードに足を踏み入れたことがある方。そんな多様な経験を持つベテランライダーが、最後に手元に置いておきたいのが、ディライトのスクランブラーカスタムに違いありません。

ducati scrambler classic custom

 ↑ 開発コンセプトは「思い立ったときに気軽に乗れて、林道にも出かけられるバイク」。空冷Lツインならではの冷却フィンと、たたき出しアルミタンクの組み合わせが、機械好き(メカニズム好き)ライダーのハートを鷲づかみにします。

スクランブラー クラシック ライディングポジション

↑ 座っても、ステップに立ち上がってもバランスがよく、自由度満点のライディングポジション。ワインディングロードで積極的にコーナリングを楽しむこともできます。身長170cm・体重65kgの筆者は足着き性もまったく問題なし

 

ドゥカティ スクランブラー アルミタンク

 ↑ 手に吸い付くような造形のアルミタンク(26万4600円)は職人さんが手作りしたもの。乗ったり磨いたりしているうちに増えていく傷も、味わいのひとつです。容量はノーマル比2リットル増の15.5リットル。ノーマルタンクキャップ対応・キーロック可能・ノーマルシート使用不可。

DUCATI SCRAMBLER シート

 ↑ ノーマルよりも前後長が延ばされたアルミタンクに合わせて、シート(価格未定)も専用設計。タックロール風のシートレザーが、ワイルドな雰囲気を醸し出しています。ベストな着座位置をキープしやすく、しっかり加速してもお尻が後方にズレない座面形状に仕上がっています。

 

ミシュラン アナキーワイルド

 ↑ あえて表面処理していないスチールフェンダー(価格未定)にはサビが浮いてきますが、これも味わいのひとつ。ダメージ加工に通じるオシャレ感と言えましょう。もちろんピカピカに磨き上げてもOK

ディライト スクランブラー ミラー

 ↑ バックミラーは専用ステー(価格未定)を介してアンダーブラケットへ移設。真後ろは見にくくなりますが、慣れれば意外と実用的です。おかげでハンドルまわりがスッキリ。目前には開放的な景色が広がります。

 

ディライト スクランブラー テールライト

 ↑ リヤフェンダー(価格未定)も表面処理していないスチール製。後方が間延びして見えないように、絶妙な曲率に仕上げられています。テールライト(価格未定)はノスタルジックな形状のものを、あえてフェンダーから浮かせて装着。サイレンサーがカッコよく見えるように、ステーを再溶接して角度を微調整してあるのも、ディライトらしい仕事です。

ducati scrambler desert sled

 ↑ スクランブラーのバリエーションモデル「デザート スレッド」は、ディライトがベース車として選んだ「クラシック」よりも1インチ大径のフロント19インチホイールを採用。前後ホイールトラベルとシート高もクラシック比50mm増となるため……ワインディングロードをスポーティに走りたいなら、ディライト車のほうが有利と言えましょう。

 

究極のフリーダムバイク

実車を目の当たりにすると、ワイルド感に圧倒されます。
特にこのタイヤ……ミシュラン・アナキー ワイルドが やばい(笑)

バイクを押して歩くと、ハンドルを通じてゴロゴロとブロックタイヤらしい感触が伝わってきて、「これで公道を走れるの?」と不安になります。

ところが、走り出したとたんに印象が一変! 接地感は明瞭だし、しっかりグリップするし、ハンドルが振れたりしないし。これなら安心して飛ばせます。

 

エンジンのワイルド感も忘れられません。

純正オプションの2in1エキゾーストに合わせて燃料噴射マップが変更されているので、803ccとは思えないくらい弾けるんです。ドゥカティらしい「トラクションのよさ」も手伝って、スロットルを開けると車体が 前に 前に 進みます。フロントタイヤのトラクション感も素晴らしい。

 

オンロード主体だったらハンドルバーをもう少し低く&狭いものに交換したくなりますが、オフロードをスタンディングで(ステップの上に立ち上がって)走るんだったらノーマルのままでいい。このあたりはステップバーの形状も含めて、追々、詰めていきたいところです。

今回は適当な場所が見つからなかったのでオフロードの走破性は確認していませんが、以前にスクランブラー アイコンで林道を走った経験からすると、安心してダートランを楽しめるはず。出先で見つけた面白そうな道に、臆せず分け入っていける自信が湧いてきます。特に千里浜なぎさドライブウェイのような砂浜を走ったら、最高でしょうね。

 

ディライト スクランブラー カスタムと女性ライダー

↑ たまたま通りかかった女性ライダーに協力してもらってパチリ。ディライト・コンプリートカスタムマシンの自由で開放的な雰囲気がうまく表現できたのではないかと思います。

 

もし僕がこのバイクのオーナーになったら……普段はジェントルに流していて、面白そうなコーナーが現れたら、しっかりスポーツするでしょう。ヒジをたたんで上半身を前傾させれば(前輪分布荷重を稼いでやれば)、キレのある初期旋回も引き出せます。

シートに全体重を預けてトラクション旋回していくのもヨダレもの。往年のトラスフレームらしい「みずみずしい接地感」は、いまやスクランブラーシリーズでしか味わうことのできない妙味と言えるかもしれません。

 

スーパースポーツでコーナーを攻め込んでいくと、どうしてもストイックな気分になりがちですが、ディライトのカスタムスクランブラーは正反対。ゆったりしたライディングポジションのおかげもあって、終始、開放的な気分でいられます。そこが、このバイクの大きな存在意義でしょう。

 

早朝にひとっ走りしてきても……、マイペースで泊りがけの旅に出かけても……、面白そうなコーナーを攻め込んでも……、オフロードで自然とたわむれても……常にオープンハート

 

スロットルひと開けで「非日常」にワープできるLツインの出力特性も手伝って、このバイクに乗れば乗るほど、仕事に追われる日常を飛び出して「笑顔が素敵ないい人」になれそうな気がします。

 

delight ducati scrambler custom

↑ アルミタンク(26万4600円)と純正オプションの2in1マフラー(22万4694円)がカスタムの要所。コンプリート価格は算出中とのことですが、残りはシートと前後フェンダー、テールランプ、バックミラー、前後タイヤですから……中古のスクランブラー クラシックをベースにすれば、案外リーズナブルな価格に収まると思います。詳細はディライトに問い合わせを。

 

まとめ……de”LIGHT SCRAMBLER “FREEDOM”

★★★おすすめのポイント

◎どんな場所でも楽しく走れる自由度の高さ

◎冷却フィンとアルミタンクの造形の美しさ

◎豪快な加速感

◎その気になったら峠道でスーパースポーツを追い回せる速さ

◎オンロードでも期待以上にグリップするタイヤ

◎クルマの流れに乗ってクルーズしているときの心地よさ

◎売却したくなったら、簡単にノーマルに戻せること

 

★★★気になったポイント

●高速道路では走行風がつらいこと

●荷物を積めないこと(防水デイパックがベストでしょう)

●前後フェンダーのサビ(味わいのひとつだとは理解できますが……笑)

 

★★★結論

ショートからロング、オンからオフまで、何でも楽しめる懐の深さを備えたバイクです。流しても攻め込んでも「オープンハート」でいられるのがいいところ。速度域も 走り方も 走る場所も ウエアも 自由。荷物は積めませんが、北海道ツーリングにも行きたくなります。自分を取り戻し、笑顔になれる「最愛のパートナー」と一生を過ごしたい方に、ぜひ!

 


取材協力:ディライト(ドゥカティ鈴鹿) http://www.delight-suzuka.co.jp


Report&Photo……梶 浩之:フリーランスジャーナリスト・バイクの家庭教師・二輪車安全運転指導員・自動車技術会正会員・K2 Bike TRAVEL代表。1994年に大型バイク専門誌が創刊したときのメンバーのひとり。2005年4月号から同誌編集長。一貫してニューモデル試乗記やライテク特集を担当。2012年1月に独立。各誌に寄稿中。記事執筆のために試乗した車両は800台以上。

 

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