「日本をつなぐ塾」をぜひ!…雅叙苑で考えたこと

サスティナブルなライフスタイル

編集者やプロデューサーという仕事をしようと思ったら「世の中の気分にシンクロしておくこと」がとても重要です。そんな観点から定期的に行っているフィールドワークで、数年前にアンテナに引っかかったのが縄文文化でした。以来、個人的に研究を進めてきたら、とても面白い。そうこうしているうちに、ようやく機が熟してきたようです。

先日、NHKが世界最大の縄文集落「三内丸山遺跡(青森県)を題材にしたドキュメンタリー番組を放映しました。「いま、世界の研究者が縄文文化に注目している」と。

そのポイントを簡単にまとめておきましょう。


◆縄文文化はエジプトや西アジア、中国の古代文化に比べて、2つの突出した点があります。ひとつは、1万5000年前から1万年間も続いた点。もうひとつは、あえて「農耕」をしなかった点です。

◆縄文人は農地を切り拓く(自然環境を壊す)のではなく、自然と共生する道(狩猟採集型の定住生活)を選びました。

◆縄文人は、他の古代文化に先駆けて土器を開発。これで煮炊きをして毒素や腐敗から身を守り、多様な植物(約80種)や魚介類、動物を食べものに変えていました。


結局のところ、人間の欲望で外部環境を作り変えていくのではなく、環境に合わせて人間がライフスタイルを変えていく。ここに、今後、人間が地球と仲良く付き合っていくヒントがあるのではないか……と番組は幕を閉じます。

この「共生」という言葉が印象的でした。そして、相手が自然でも人間でも、共に生きようとするところが、日本人らしい感覚だろうと思います。特に僕は、物心ついたころから母方の実家(稲作農家)でこうした知恵にたくさん触れたこともあって、共生感覚を強く受け継いでいます。

 

日本をつなぐ塾

雅叙園(鹿児島県)ところが、息子(18歳)の世代を見ていると、こうした原体験があまりにも少ない。このままでは世界が注目している「自然や人間と共生していく日本人らしい感覚」が薄まっていくのではないか……と危惧していたときに、『忘れの里 雅叙苑』(鹿児島県霧島市)に出合いました。

このお宿が大切にしているのは、旧き良き日本の里山文化です。 

よく見ていると、その本質には「自然との共生」「狩猟採集型の定住生活」があるんです。四季折々の山の幸や川の幸を主材にした砂糖不使用のお料理の数々、かまど炊きのご飯、自然やお客様への感謝、そこから生まれるおもてなしの心……これこそ世界が注目する 縄文スタイル そのものではないでしょうか?

でも、現在の『雅叙苑』はあくまでお宿です。立ち並ぶ古民家や放し飼いの鶏、薪で炊くかまど、大きな囲炉裏、岩をくりぬいた温泉風呂など、そんじょそこらのお宿とは違うのですが……その裏側にある「膨大な手間」はお客様から見えないようにしています。

だからこそ、僕はりたい! じたい!! せっかく旧き良き里山生活を動態保存しているのなら、それを支えている人間にも、たっぷりアクセスさせてほしいと思ったんです。

たとえば……

朝5時から囲炉裏を手入れして、新たに炭をおこしているときに、何を考えているんだろう?

かまどの準備は? 火加減は? そこにどんな知恵があるんだろう?

お料理の仕込みと仕上げは? 一番大切にしているポイントは?

無農薬野菜って、どんなふうに育てているの? なぜ市販野菜と味が違うの?

大切な人を迎えるために、どんな気持ちで鶏の命をいただくの?

スタッフの方々は、なぜあれほど真心のこもった笑顔なの?

国内外を幅広く旅してきた僕の経験に照らし合わせても、こうしたことをきちんと教えてくれそうな場所は、 雅叙苑 以外に見当たりません。だから、次のような企画を「検討してほしい」とお願いして、旅立ちました。一言でいうなら、『日本をつなぐ塾』の開講です。

 

こんなカリキュラムはいかがでしょう?

「小中高校生がチームを組み、スタッフの指導の下で何かの活動に取り組む。そして、草葉の陰からこっそりお客さんの反応をうかがう。この一連の出来事で感じたことを話し合い、担当スタッフがフォローする」というのを1ユニットとして……2泊3日の合宿中に作業をローテーションしていくのはどうでしょう? そこには自家菜園の手入れや野山での採集、地元の方々との交流も含まれます。

実際に行うと、宿泊施設のオペレーションが影響を受けるでしょうから、お客様にも合宿の併催を知らせておき、積極的に協力していただくと、壁を乗り越えられそうです。受講生にどんどんフィードバックしてくれたら、『日本をつなぐ塾』はいっそう実りのあるものに進化します。もしかすると、この合宿期間中のほうが、宿泊予約を取りにくかったりして……。

砂糖不使用の四季折々の料理を学びたいという要望も大きいと思います。何を隠そう、僕自身がそうです。これだけ独立して、1泊2日~2泊3日の定期講習を開催してもいいですね。料理の考え方から素材の選び方、下ごしらえ、味の含ませ方、様々なレシピ。それらの書籍化やウェブコンテンツ化を検討する段階になったら、ぜひ僕(調理師免許保有)にやらせてほしいと思っています。

花嫁修業の一環として、女将から「おもてなしと料理」を学ぶ合宿も期待したいです。地元の幸せそうなご夫婦を何組か巡って、お話をうかがうのも有意義です。これはそのまま「日本の素晴らしい文化を次世代に伝えていく」ことに通じます。こうしたご夫婦の「笑顔の秘訣」をインタビューして書籍化するのも、僕の夢のひとつです。

まとめましょう。


◆テーマ:「日本をつなぐ」~昔から今へ、そして次世代へ~

◆目的:世界が注目する縄文文化に端を発し、自然や人々と共生する「旧き良き里山生活の知恵」を次世代に伝えていく。その結果、みんなが健康で仲良く笑顔で暮らせる日本になっていくこと。

◆事業:初年度は以下の3つの塾を開催し、参加者の意見などを聞いて、カリキュラムを発展させていくといいのではないでしょうか?

「小中高校生に里山文化を手渡す 日本をつなぐ塾」(多年代協力型の合宿)

「砂糖不使用! 体が喜ぶ雅叙苑料理」(合宿/オンライン講座 併催)

「日本をつなぐ花嫁修業 家族が喜ぶ塾」(合宿/地元のご夫婦の協力も仰ぐ)

すべて私案にすぎませんので、みなさんからアイデアやご意見をいただいて、よりよいものに発展させ、雅叙苑さんに提案したいと思っています。50年後の雅叙苑に向けて、何かのヒントになってくれたら、望外の喜びです

※上記は梶の私案です。開催が決定しているわけではありません。


 K2のツーリングでお世話になったお礼に、こんな企画をたくさん提案していきたい。
それもK2バイクトラベルを設立した時からの願いです。

僕たちがツーリングするほど、何かと何かがつながり、より気持ちのいい日本になっていく。
それが僕の理想です。

 


One thought on “「日本をつなぐ塾」をぜひ!…雅叙苑で考えたこと

  1. さっそく、読者からメールでご意見をいただきました。

    「お客さんとして、泊まっているうちに、何か1つか2つを体験させてもらう。私はそんなスタンスのほうが良いと思います」

    なるほど、お宿としての進化の方向性は、これがいいと僕も思います。

    今回の僕の提案は、雅叙苑さんに「生涯教育」に取り組んでほしいというメッセージです。しかも、ご商売というよりも、一種の社会事業のようなスタンスでね。

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